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わたしも伝説のチームになる!

47 SAORI

 2010年11月。アパレルブランドで店長を始めて約1年。それなりに成果も出してきて自分自身もこれからだ! と思っていた。でもなぜか、ぱっとしないと感じる自分もいた。
 最初のお店は安全牌みたいなものだった。ベテランのスタッフもいて、新人スタッフは売り線。人間関係も良好でみんなが楽しく仕事ができていた。

 そんな矢先、上司に新店店長のトレーニングをしてもらいたい、と辞令を受けた。
その店には案外通える距離だと話したら、じゃあ、あなたが店長をやってくれ、と頼まれた。話が急展開したが、新しく自分で作りだすことに挑戦できることは、更に成長できる! と思い、即決OKを出した。即決に、上司はびっくりしながらも感謝してくれた。そう、私はそういう性格である。

 グランドオープンの店長は忙しいに決まっていた。新人の受け入れ、研修。あっと言う間に時間が過ぎてオープンした。予算は大幅に達成したが、金銭授受のミス、スタッフの研修不足など、課題はたくさん残った。おまけにいつも終電ギリギリの帰宅。

 オープン当初から、以前サービス業で管理職をしていた新人スタッフとの衝突が絶えなかった。私より年上で経験もあるから、ことあるごとに私のやり方に意見をしてきた。ぼろぼろに傷つくことも少なくなかった。ストレスがたまっていくことを感じていた。でも、今の自分のままではいけないことも感じていた。

 アパレルに新卒入社した2008年、mixiで堀口さんの存在を知った。悩んだ時には必ず堀口さんのブログやメルマガを読んで、できる限りのことを今まで実行していた。

 2008年、堀口さんの「毎日がメッセージ」セミナーに参加した。セミナー中に歌を歌ったり、セミナー後の課題として、美術館へ行ったり、お掃除したりがあった。セミナーというものに初めて参加したが、こんなに堅苦しくないものなのか!? とびっくりしたことを覚えている。
 セミナーの特典でついてきた「24の質問DISC」を、くるくる回して自分自身に問いかけていた。セミナー後、内面にも変化が起こった。相手から威嚇されているように感じて、くよくよすることが多かったが、あまり気にならなくなった。

 2009年には、「お店づくりセミナー」にも参加した。店長になる前のタイミングだったので、すごく参考になったし、そこで知り合った人の頑張りをブログで知ると自分も頑張ろう!と思えた。いつも堀口さんのセミナーに参加した後は、良い方向に進んでいった。
 お店づくりセミナーの音声CDをiPhoneに落として、毎日繰返し聞きながら、通勤していた。『ひとみずむ』もダウンロードして読んでいるうちに、こんな風に私も変化できるなら…と。新店がオープンして半月後、ずっと踏み出せないでいた90日コーチングを受けてみようと決めた。

 2010年12月22日。オリエンテーションから、さっそく、がっつりコーチングが開始され、びっくりした。コーチングで取り扱うテーマを決めるとのことだった。
 
 キャリアの長い部下とどう付き合っていけばいいのか悩んでいたので、まずはコミュニケーションのことをテーマとした。

 自分の気になっていることを色々と話して行くうちに、私は、「どっちでもいいです~」が口癖であることが発覚した。気づいていなかった。自分の気持ちをスルーして、相手の顔色を見て、自分の出方を決めていることを、なんとなく自覚した。
 2つ目のテーマは「自分の気持ちをちゃんとみること、感じること、大切にすること」に決まった。

 オリエンの最後に、こんなやり取りをした。

「コーチングの時に、名字でお呼びするか、名前でお呼びするかどちらがいいですか?」
「どっちでもいいです」
「どっちか決めてください(笑)」と、堀口さんにさっそく突っ込まれてしまった。

「どっちでもいいよ」の口癖が早速出てしまったが、決めることって、こんなに簡単なことからでもいいんだと思えた。
 
  
 セッションでは、ずっと新人スタッフとの関係について話していた。堀口さんからは、相手の話を聞くためのコツを色々と教わった。

 その後、相手の話を最後まで聞いたり、承認したり、コミュニケーションの方法を、あれこれ試してみたけど、自分のイライラは募るばかりだった。

 どんなに、工夫して話しかけても、彼女は、いつも私や他のスタッフの欠点を話題にしてくるし、店長はこうあるべきとか、自分がいかに頑張ってやっているかとか、評価してほしいと言わんばかり、私にアピールをしてくる。『はあ? じゃあ、あなたはちゃんとやっているのか(怒)』と思うことばかり。

 ある日、ついに決戦の時を迎えた。宣戦布告をしたのは彼女だ。
ほんの些細なことで、お客様からクレームが来た。「商品を返品したい」と、言われた。
 最初は彼女が接客をしていたが、商品が気になって戻ってきてくださって、最終的には他のスタッフが販売をしたという状況だった。そこで彼女は、自分じゃなくて、他のスタッフが悪いと言わんばかりのニュアンスで言ってきた。

「○○さんが受けたクレームで、私が直接販売したわけじゃないんですけど、私が最初に声をかけたので…」
 自分の非を認めないことに、私の怒りもMAX!
「自分の売上になっているものなのだから、人がどうこうじゃなくて、自分が悪いことを認めたらどうですか?」と私は言った。

 すると彼女は般若のような顔をしてそっぽを向いてしまった。私は内心しまったと思ったが、ちゃんと話をしないといけないと思い、彼女と話すことにした。

「そんな顔をして店頭にいても困ります。言いたいことがあるなら言ってください」
「ずっと言っているのにあなたは変わらなかった。私の経験上、人はそう簡単に変われないってわかってますけどね。あなたが使う言葉は、店長の発する言葉でないし、気分屋すぎますよ。もう私は異動をするし、何を言っても無駄だし、今ごろ話し合おうだなんて、遅いですよ」 

 部下からこんなことを言われるなんて、びっくりだった。
もっと彼女を理解しよう、とも思っていたし、自分に至らないことは多いけど、まだまだこれから私は変われると思っていた矢先の出来事で、仕事のことで久々に泣いた。
 私の様子を見た彼女はあわてたように「仕事のことで、人間性の話じゃないですから」とフォローのつもりで言ってきたが、ショック過ぎてまったく響かなかった。

 堀口さんにSOSメールをしたら温かい返事が返ってきた。
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Saoriさん
色々勉強中ですね。
> 言葉が店長の発する言葉でない。気分屋すぎる。
それにしてもこの方は、人にこうでなくてならないと、決めすぎる人ですね。
Saoriさんは、良くなろうと努力中ですから、その言葉をあまり気にする事ないです。
自分が、どういう店長になりたいかです。それに向かってます。
よくやっていると思います。だから、前進してますよ。
だんだん良くなると信じて大丈夫だと思います。
堀口ひとみ
===================================
自分は大丈夫、次からまた頑張ろうと思った。
彼女はあと半月で異動だし、話すのはやめようと決意した。

 堀口さんに、衝突したことをメールで報告していたので、次のセッションでは、衝突した部下の話になると思いきや、私自身の話になった。

「Saoriさんが、ずっとその彼女のことを気になっていることが気になります。何ででしょうね? 相手の方がどうこうと言うより自分の中で何か許せていないことがあると思いますけど、何か思い当たることありませんか? 自分の中で許せていないこと…」

 「???」

沈黙する私に、堀口さんが他のクライアントさんの例を出してきた。
「あるクライアントさんで、店長のことがずっと苦手で2年以上ずっとそうだったんですけど、あるとき、私気づいたんですよ。コミュニケーションをどうよくするか、で結構彼女も頑張っていたんですけど、ずっとその店長に怒られっぱなしなので、もしかしたら過去に、怒られたかったけど、怒られなかったことがあって、そのことについて納得できていないんじゃないかと…。聞いてみたら、あったんですよ。自分がズルをしたのに、大人が注意しなかったという出来事が…。本当は、注意してほしかったんだそうです。その気持ちに気付いたら、店長との関係が気にならなくなって、その後、『店長に昇進しました!』とメールが来ました。だから、相手を鏡にして、何か知らせている気がするんですよね…」

ずっと出てこなかった。沈黙が10分くらいは続いたと思う。

許せていないこと……自分が苦手だったこと……。
高校・大学ととても楽しく過ごせていた。
中学のころは……? どうしても苦手な先生がいた。
人の好き嫌いが態度に出る先生だった。
小学校までわりと優等生で先生から頼りにされていたが、その先生には怒られてばかりで、話すこともいやになった。

小学生のころ、いじめられてひとりでいる子がいた。
私自身は、いじめなんてばかばかしいと思っていたし、いつも中立の立場だった。だから先生にそういう子と仲良くしてほしいと言われて、仲良くしていた。先生に頼りにされてうれしかった。

私は次女で、姉は自由奔放で天才肌だった。周りの大人はみんな姉が好きで注目をしていた。私は勉強を頑張ったら良い成績が取れた。親にもほめられた。とてもうれしかった。

 そもそも店長も自分から手をあげてやりたい! と言ったわけではなかった。やる人がいないから、いつの間にか店長にされていたと思っていた。でも、頼りにされることは、悪くなかった。頼まれているから、やっている感じは否めなかったけれど。だから、本気でがんばっている人や、結果が出て上司から誉められてる店長を見て羨ましく思った。

 先生や上司に褒められるための決断が多い。自分がそうしたくてしているわけではない。
これをしたら褒められるとか。そんな選択をするから、本当にやりたいことはやらせてもらえなかったり…。
 
だから、本当に好きなことができていないから羨ましく思うのか。
そうだ! わたしはいい子でいたかったし、褒められたかったんだ。

褒められるための決断をするから、いつも友人の集まりでも、なぜか孤独を感じていた。自分自身やりたいことができていないから、寂しかった。だから、孤独の気持ちを感じたんだ。

冷めた自分がどことなくいつもいる。
やりたいことをやっていないから。
仕方なくやっているから。

「Saoriさん、相手の顔色をみて自分がどうするか、決めてきたのかもしれないですね。だから、どこか冷めていて、寂しそうな自分が出てきていたのでしょうね。…じゃあ、『許す儀式』をやってみてください。『自分自身がやりたいことよりも、誉められるかどうかで行動してしまう自分を許します』って紙に書いて燃やすんです」

『燃やす??』
なんだか楽しそうだ!

堀口さんのブログでそのような記事をみた直後で、なんだか幸せになれそうな気がした。納得したら行動が早い。自分はそういう性格だった!
早速、セッションが終わってから、紙に書いて燃やした。
1月20日、手放すにはいいと言われる、満月の夜だった。

 儀式を行った後、本当の気持ちに気づけた。周りの期待にこたえるためで、仕方なくやっていると思いこんでいたけど、そもそも自分は店長をやりたかったんだと思えた。

 そう思えたら、一人の部下のことはあまり気にならなくなり、一人一人の部下の良いところや直していくところ、本質をみられるようになった。
 ちょうど、学びが終わったかのように、衝突していたスタッフは異動した。

 サブスタッフにも「私、誉められたくて仕事してたんだよね」と伝えたら「みんなそうですよね」と言った。どう思われるか、反応が怖かったが、笑って言ってくれた。それだけでほっとした。

 ほっとした1週間後、チャンスが訪れた。
私がずっとやりたかったMD(マーチャンダイジング)アシスタントで社内公募がかかったのだ。今までの自分は、すごく悩んで応募をしていなかった。もうやりたいことをやろう、と思い応募した。

 ちょうど、堀口さんが名古屋で講演があり、こちらに来るとのことで、次のセッションは、じっくりと対面コーチングにした。テーマは「面接でいかに自分らしさをだすか」。

 自分はアシスタント的に人と関わることが向いているのではないか、という話から発展し、人と浅くしか付き合えていないことに気付いた。信頼関係のある相手となら、最後まで話を聞くことができるが、仕事の場では、浅い気がした。もっと部下の話を最後まで聞いたり、自分がゆっくり話すことが、課題として見えた。

 自分の自己PRに関しては、これまで目標は必ず達成してきたことや、ディスプレーが得意分野であることなど、ばっちりアピールするエピソードも揃い、自信満々で面接に臨んだ。

 しかし、最終選考までいったが残念な結果となった。足りないものは「経営者としての目線」だとフィードバックを頂いた。

 堀口さんに報告メールをしたら、
「流れたということは次にあうものがくるということです。そう信じちゃいましょう」と、返信が来た。とても残念だったけど、堀口さんの一言で救われた。

 MDアシスタントの面接の次には、昇格面接があった。
自分らしく一番すっきりと話せた面接だったが、上司からのフィードバックは散々なものだった。とにかく「マネージメント」に力を入れてほしいと言われた。人事からは「SV(スーパーヴァイザー)向きだよ」とも言われた。

 近い将来、自分がこのお店からいなくなるかもしれないと考えて、自分がいなくても大丈夫なお店づくりをしていこうと思った。

 90日コーチングが終わった頃、上司から、私の在籍しているエリアの店長は新人店長ばかりだからと言われ、プチSVを任された。内容は、接客やお店づくりを見てフィードバックしたり、指導をしてほしいとのことだった。

 任されたのだから! と気持ちを上げて行こうと思った矢先、体調を崩し、月の半分、仕事を休んだ。震災も重なって、どん底まで気持ちが落ち込んだ。 
 
 忙しく仕事をしている間は、MDアシスタントに落ちたことも、さして考えずに過ぎていたのだが、ずっと寝ているうちに、どんどんネガティブな方向に考えが及んでいった。
 
 体調も一向によくならなかった。このまま仕事を続けられるんだろうか? 本当にやりたいことも先が見えなくなったし、このまま働いてもいいのか……。いつも同じ考えがぐるぐると回っていた。頑張ろう! と思い行動していたが、気持ちが追いつかなかった。
 

 回復してから、数か月間もやもやしながら仕事をしていた。それと同時に店舗の業績も下がっていった。

 少し気分を変えよう! と以前から気になっていたオシャレな自転車を購入しようと思った。ちょうど堀口さんがブログでBRUNOを紹介していた。ピンクとパープルの色合いは私もツボで、これにしよう! と思った。気がついたら友人も皆、BRUNOに乗っていた。

 早速、自転車屋さんへ行ったが、大人気で全て完売していた。諦めの悪い私はキャンセルが出るか、倉庫に1台だけないか、ありとあらゆる手を尽くしてもらうために予約だけした。
 
 すると自宅に着いた直後、自転車やさんからTELがあり1台確保できたと言う!!
うれしくて、早速ツイッターでつぶやくと堀口さんから「執念に乾杯!」とコメントが返ってきた。なんだか嬉しくなり、気分が上がってきた!

 延期になっていた『ひとみずむアワード』が開催された。読者代表で参加した。
とても楽しくて、温かくて、久しぶりに純粋に楽しむことができてモチベーションがアップした。
その後、しばらくのメールの文章は♪マークが飛んでいた。
「最近クライアントさんのメール文章に♪マークがよくついているんですよね」と堀口さんのメルマガに書いてあった。

『堀口さん、それは楽しいからです!』
つまずいた時は堀口さん!  
迷いもなく翌日90日コーチングの第2クールを申し込んでいた。

 第2クールのセッションは、「もやもやしてるんです」私の一言からはじまった。もやもやの原因は自分がふわふわしているからだった。言葉にするとすぐに気づく。
 
上司がちゃんと見てくれない! ありがちなパターンに陥っていた(笑)そう思えたら話は早かった。今度は自分が褒めたり、認めたりする番だったと気づくことができた。

 オリエンの最後に、第2クールのテーマが決まった。
「私、ひとみずむ34のakiraさんのような伝説のチームになりたいです!」
「いいですね! 伝説のチームになる women!! (笑)『ひとみずむ』書くの楽しみですね!」

 伝説のチームになる、良い響きだった!!
みんなで楽しく仕事をして、業績を上げたい! Akiraさんのひとみずむ34は、読んでいて爽快感があったし、自分もそんな気持ちになりたいと思った。

 しかし、早速試練があった。
プチSVになるにあたって、1クール目に衝突していたスタッフとまた関わらなくちゃいけなかった。また何か言われるんじゃないか……とドキドキしたが、心配をよそに、ちゃんと話ができた。

 話を聞くと、彼女は異動先でも相変わらず、店舗のスタッフとも衝突が絶えないようだった。良いお店にしたい! という気持ちはわかったが、課題は多いように見えた。私から、改善すべき点は伝えたりした。
でも結局、私は「彼女が悪い!」と頭から決め込んで、彼女を見ていた。だから、悩むことが増えた。

 尊敬している元上司に、彼女のことを話したら喝を入れられた!
正直、愚痴のような話になっていたと思う。そんな考え方の店長のしたで働きたくない! とまで言われた。
 以前だったら、『なんで私だけそんなことを言われなきゃいけないんだ……』と言う思いが強かったが、『そらそうだ』と心穏やかに聞くことができた。また一歩前進できた!!

 2クール目はとにかく堀口さんがよくしゃべっていた。(爆)
上司として必要なコーチングスキルを教わることが多かった。
ずっと売り線だった私にとってマネージメントという言葉すら苦手だったから。
 
 部下に仕事を振る時には、自分の経験を教えることの方が多かった。でも、自分がいなくても店が回るようにするためには、部下に考えてもらうことが大事だと、堀口さんに教わった。

 とにかく、スタッフに動いてもらうため「どう思う?」と必ず聞いた。質問魔になるように心掛けた。
 話し方もロジカルシンキングを心掛けていたが、自分らしくないのでやめた。その代わりシンプルに伝えるようになった。
 個々によって接し方、教育やトレーニングも変化をつけていった。好き嫌いではなく、ありのままで人を見られるようになっていった。

 ある日、一番下のスタッフAさんと週のお店の方向を話合っている時に衝突した。
私は、とても頭でっかちになっていて、自分のやってきたことにも自信があるし、私の方が正しい! と、かぶせて言い負かした。Aさんはしぶしぶ……という感じで、納得してないように見えた。

 その週はそんなに店が混雑することもなかった。Aさんは、自分が正しいと思っていたことを忠実に実行している様子だった。
そんな姿を見て、「まあ、忙しくないし、いっか」と思い観察をしていた。

 なんと、その週の売上や客単価は彼女が一番よかった。
売上を上げることが店長の責任。その時、自分が間違えていたと気づいた。

 週の振り返りを行った時、素直に「ごめんね。私が間違っていた」と謝ることができた。
するとAさんは自信をつけて、その後はモリモリと販売するようになった。

 部下に謝ることができなかった半年前を思えば大前進! 部下も気持ちよく働いてくれている。お店の業績は、なかなか厳しかった。だが、スタッフはいい感じで成長していて、自分で考えて行動できるようになっていた。

 お店の業績を上げるきっかけになりそうなプレセールは、チャンスだと思い、次のセッションでは、どうしたら成功するかを焦点にした。

 ・ご案内のはがきが届いている人に、再度お知らせメールをする。
 ・プレセール中にもメール、電話をする。
 ・商品を切らさないようにする。
以上3点を徹底的に、これでもかっ! というほど実行する!

そして、この3点の戦略を徹底しただけで、その月は無事予算達成!
今までの顧客様との関係性が強いものになり、自信にもつながった。

 そのころ、上司が変わった。面談の時に「将来どうなりたいの?」と聞かれた。
常に考えているわけじゃないけど、「女性を幸せにする仕事がしたい」と言葉が自然と出た。「大きいなあ」と笑われた。
お客様だけでなく、働くスタッフも幸せにすること。自分の軸が明確になった。どんどんやる気が出てきた。

 少し余裕が出てきたので、堀口さんのまねをして出雲へ行ってパワーチャージもした! 
出雲で特に印象に残ったのは、占いの池がある八重垣神社だ。
 八重垣神社に行く途中は、雨が降っていたが、神社の周りだけなぜか晴れていて、太陽の光が見えていた。なんだか不思議な気分になった。
 占いの池は、半紙の上に10円玉か100円玉を置いて15分以内に沈んだら願いが叶う、と言われている。早速、友人とチャレンジした。

 私は10秒ほどで沈んだ。
 何か縁があるのかなぁ、とふと思った。

 コーチング2クール目の最終に差し迫ったころ、なんと、SVに抜擢された。飛び級のような昇進だった。出雲効果か?!
 でも、自信はなかった。私よりベテランばかりだったし、こんなに早くて良いのか? 私にできるのか?? 迷いはたくさんあったが、だんだんと、これがチャンス! と思うようになり、流れに身を任せていった。

 私がSVになることで、副店長が店長になった。 
店長の私がいなくなると決まった瞬間、スタッフの動きが変わった。ミスばかりしていたスタッフも落ち着いて良く確認するようになった。
 
いつしか、お店は私がいなくても大丈夫になった。
これこそ、私の目指した伝説のチームだった!

 1クール目でMDアシスタントに落ちた時に堀口さんが言った言葉の通り。
「流れたということは次にあうものがくるということです。そう信じちゃいましょう」
(堀口さん! ほんとうにきました! 笑)

 流れが速すぎてびっくりした。そのころにはすっかり、MDアシスタントを落ちたことを忘れていたくらいだった。
「まさかのSVだね!」と、堀口さんも、とても喜んでくれた。

 SVになることで、念願だったフランス研修に行くことができた。
フランスは、学生の研修の時に行って以来だった。そのときは、スケジュールが詰め詰めであまり楽しめなかった。
 だが今回は、仕事とプライベートもあまり区切られてなくて、前日に「昼くらい集合で……」とかなり、時間にアバウトな研修だった。実際、予定時間に15分ほど遅れてきた人もいた。フランス人にしては早いなと思った。(笑)

 おかげで、ゆっくりと街並みを見られたし、パリジェンヌのように自転車でモンマルトルにも行った! 日が落ちるのが遅いので一日が長く感じたし、ディナーもゆっくりと食べることができた。いつも15分以内で間食! 即仕事! な私にとってとても贅沢な時間だった。
 日本と180度違う文化と感じた。一度は海外で働いてみたい! と新しい目標もできた。

 今の自分を1年前は想像できずにいた。この『ひとみずむ』を書きながら、さらに感謝すべきことが多くみつかって、『ひとみずむ』を書いてよかったと思えた。

 あんなに衝突していたスタッフとは、今でも上司部下の関係で、むしろ尊敬する部分が多く見えてきた。自分のやりたいことに気づかせてくれて感謝している。そこから流れが変わったから。自分が本気で取り組みたいことに気づけたから。

 今の自分自身の仕事内容に関しては、まだまだ満足していない。
その分、成長する伸びしろがある!
SVとして、新しい伝説のチームをたくさん作っていきたい。